降神姫アグニ11話 サソリ
「みなもちゃんも、いっちゃうよ」
ハンマーを構え、サソリ魔物に向かうみなも。
以前よりも増したスピードが、さらに磨きのかかったパワーがサソリ型魔物を一気に叩き潰す。
「まだいるんだよねー、たいへん」
一体を倒してもみなもは油断しない。
弱い魔物は群れを成す。そういうもの。
だから、追加の十数体に取り囲まれても、水のように冷静な思考で宙を飛ぶ。
頭の悪いサソリ魔物はみなもの着地点へと集まり、その身を固める。
それはみなもにとって絶好の的だった。
「ティア、スタンプ」
水流に勢いを増したハンマーが一か所に集まったサソリたちを一網打尽にし、砂埃を舞散らせる。
着地の反動でついていた膝を立ててむくりと起き上がるみなもは、無表情な顔の横でやかましいピースサインをした。
「ぶい」
魔物を多く倒したことで、みなもの思考に隙が生まれる。
悪辣な魔物はそこを見逃さない。
ぶすり、とみなもの足を鋭い痛みが刺した。
「うぐ……!?」
その瞬間から、みなもの体にこわばるような感覚が走る。
「さそり……どく……」
サソリの尾から連想されるのはやはり毒。
このサソリ魔物が持つ毒は麻痺性の毒のようだ。
さらに麻痺でこわばったみなもの体に、複数のサソリがハサミで食らいついた。
「つぅっ!!」
悲鳴すら、上手く出せない。
そんな中で万力のようなハサミで締めあげられるような痛みがみなもの体中で主を蝕む。
(あれ、間に合わせる)
それでもあきらめないみなもはとある技の準備をする。
そんなみなもの目論見を知ってか、サソリはまた、棘尾をみなもの足に突き刺した。
「~~~~っ!!」
足がガクガクと震える。今にも膝をついてしまいそうになる。
それでもみなもは耐え続ける。
(しゅう……ちゅう……!)
痛みや痺れに耐えて、そしてついにみなもはそれを発動させた。
それは水の持つ癒しのイメージの具現化。同時に浄化のイメージも具現化させる。
癒しのイメージはみなもの体に回った毒を癒し、浄化のイメージはサソリたちを泡のように溶けさせていく。
これが降神姫ティアとしてのみなもの新たな技だった。
「ふぅ……ふぅ……」
息を整えるみなも。
強大な技は効果がある分消耗も激しい。
襲撃者はその隙を見逃さない。
「うぐっ!?」
みなもの首筋に巻き付くなにか。
それはみなもを締め上げて、その意識を闇へ誘った。
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