バーチャルゲーム1 雲
火屋はなびと新海みなもの元にそれぞれ届いた招待状。
「VR空間ゲームのテスター? 怪しいなぁ」
「あれ、裏になにか書いてある……。はなび、これって……」
みなもがはなびに見せた文面。
”私は君たちの正体を知っている”
「はぁ、まだまだ戦いは続くってことね」
「もうちょっとだけ続くんじゃよ」
「ほんとにもうちょっとにして欲しい」
愚痴を漏らしつつ、はなびとみなもは指定の場所に向かった。
厳かな研究所。
その中にある巨大な一室。
「そのカプセルの中に入りたまえ」
アナウンスの声が、円柱状のカプセルに入ることを促す。
はなびとみなもは顔を見合わせるが、誘いに乗ることにした。
アナウンス通り、カプセルに入り込む。
そして、その瞬間、視界が変わった。
今まで機械的な研究所にいたが、上を見上げれば上空を覆う暗雲。
地面は、草生い茂る原っぱだ。
「アグニ!」
「ティア!」
はなびとみなもがパートナーの神を呼ぶと、彼女たちは神を降ろして戦う降神姫へと変身する。
カラーリングが赤と青で異なるデザインは共通のボディスーツ、ジャケット、グローブ、ブーツがその身に纏われて、はなびは槍を、みなもはハンマーをそれぞれ武器として握った。
「さぁて、どっからでもかかってきなさい」
「けんかじょーとー?」
敵の出現に身構えるはなびとみなもだが、一向に敵はやってこない。
「あれ?」
「おるす?」
しかしその認識は誤りだった。
なぜなら敵はすでにこの場にいるのだから。
ざぁぁぁぁぁと、暗雲から激しい雨が降神姫たちを襲う。
「くっふぅぅぅぅぅぅ!?」
「あうううううううう!?」
その雨は、媚薬効果を持つ雨。
そう、上空にいる暗雲自体が敵なのだ。
「こ、こんな……あううう!」
「こんな広いこうげきっ、よけられない、はうううう!!」
媚薬雨にまみれて反撃すらおぼつかない降神姫。
さらに暗雲の攻撃は終わらない。
ぴしゃんと雷がはなびとみなもを叩いた。
「ひっぎぃぃぃぃぃぃぃ!」
「あぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
媚薬雨で濡れた体に雷の電気が帯電する。
膝をつき、うずくまってしまった降神姫たちにトドメを刺すべく、暗雲が雷エネルギーをチャージしようとした時だった。
「ソルブレイバー!」
「ルナブレード!」
激しいオレンジと青の光が上空の暗雲を吹き飛ばす。
あとには晴れ間だけが残った。
「大丈夫ですか!?」
「立てますか?」
はなびとみなもに手を差し伸べたのは小学生高学年くらいの少女たち。
ひとりはオレンジの髪、白地に青襟赤スカーフのオーソドックスなセーラー服に少女がつけるには無骨な金属質のガントレットやブーツを身に着けている。
もう一人は黒髪のポニテ、黒地黒襟青スカーフのセーラー服で、ところどころに忍者装束のような意匠が見える。
「あ、ありがとう。あなたたちは?」
「たすかったよー」
「わたしはソルライトです。装光妖精ソルライト」
「私はルクスルナ。ソルと同じく、装光妖精です」
装光妖精と名乗った少女たちの手をとって、はなびとみなもは立ち上がる。
「装光妖精っていうのはあたしたちでいうところの降神姫ってものかな」
「かも」
「お二人も、変身して戦ってる感じですか! かっこいい衣装ですね!」
「あ、ありがとう。ソルライト」
「ソルでいいですよ!」
「じゃあ、ソル。あなたたちも、手紙とかで?」
「ええ、怪しいと思ってカプセルに入ったらここに」
「なるほど、あたしはえっと、降神姫アグニ。こっちが」
「降神姫ティアちゃんでーす」
「よろしくお願いします!」
「みなも、ちょっとこの子まぶしい! むっちゃいい子だ」
「ええ、ソルはとてもいい子です」
なぜかはなびの誉め言葉にルクスルナが誇らしげだった。
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