バーチャルゲーム 終 アクメメール
「ふふ、よくぞここまで来た装光妖精に降神姫」
どこからともなく男性の声。
「誰よあんた!」
「しょーたいをあらわせー」
「すごい、息ぴったり」
「私たちもああいう掛け合いした方がいいんでしょうか?」
「私はこの先にいる。この世界の”ラストボス”としてね」
男性の声が言い終わると、4人の少女たちの前の扉が開いた。
覚悟を決めて、彼女たちはその扉の先へと進む。
「なっ!?」
「みなもちゃんも……これにはおどろき……」
「大きい……」
「さすがに、”ラストボス”なんていうだけはありますね……」
4人の変身少女たちが見たのは、その空間一面に樹木のように根を張る電気コードの下半身、同じく電気コードで構成された人間の上半身といった姿だった。
(アグニ)(ティア)
降神姫たちはそれぞれパートナーの神の人格を呼び、心を通わせその力を強める。
人神一心形態だ。
装光妖精たちは、密かにキスをして、それぞれ太陽と月の力を交わらせて互いの力を得る。
ソルライトのエクリプスモード、ルクスルナのイクリプスモード。
それぞれの変身少女たちは、自身の持つ最大の強化形態で”ラストボス”との戦闘を開始した。
「せやぁ!!」
「たぁぁ!!」
第一陣の降神姫アグニとソルライトが槍と拳を叩きこめば”ラストボス”の巨体が揺らぐ。
「とりゃあ」
「はぁっ!」
降神姫ティアが電気コードでできた腕を破壊し、ルクスルナが根本から斬り落とす。
「ぐぅ……! これがきみたちの力!」
苦し気なさきほどの男性の声。
どうやらあの男性の意識はこの”ラストボス”そのもののようだ。
「観念しなさい!」
「いいや、そうするのは、キミたちの方だ」
不敵な言動を”ラストボス”が告げると、突如鳴り響くシステム音。
「メッセージを受信しました」
「え」
変身少女たち全員が、無限にも思える一瞬の間を体感した。
そして、その無限を経て少女たちの身体は理解する。
屈服せざるを得ないほどの快楽を与えられたのだと。
「ひっぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「あぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「あぎゃあああああああああ!!!」
「はぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
変身少女たちの電脳体に刻まれる、快楽データを添付されたあり得ない件数のメール。
それらはこの空間のパトロンから送られてきたものであり、変身少女たちの全てを破壊するのに十分な量だった。
仰向けで倒れて体をガクガクと痙攣させてただただ舌をつきだし絶叫するしかない変身少女たち。
見開いた目からは大粒の涙が流れ、口からは涎がだらだらと零れ落ちる。
股間では狂わされた電気信号によるひたすらに絶頂汁をぶちまけろ、尿を漏らせという指令が愚直に実行されていた。
変身少女たちが反撃することは適わない。
そもそも反撃するという思考にさえたどり着けない快楽暴力の嵐。
ただただ無数の快楽に殴られ続け、心も体も朽ちるまでイき続けるしかなかった。
「メッセージを受信しました」
「ひぎゃあああああああああああ!!」
「メッセージを受信しました」
「くひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「メッセージを受信しました」
「がひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「メッセージを受信しました」
「はぎゃあああああああああああ!!」
膨れ上がる膨大な快楽が、変身少女たちの気力と体力を根こそぎ奪い取っていく。
「……」
十字架のような形になった機械触手に磔にされた4人の変身少女たち。
もはや瞳に生気はなく、涙も涎も枯れ果てている。
股間からとめどなく溢れ出ていた愛液や尿も、もはや空っぽで出てこない。
それでも、変身少女たちの股間やお尻の穴を今も機械触手たちが蹂躙している。
降神姫たちのエネルギーラインも、装光妖精のコアクリスタルも輝きを失い、もはや彼女たちのエネルギーが残されていないことを告げる。
装光妖精と降神姫は完全敗北した。
「なんて体たらくですか」
戦場に新たな乱入者。
「おや、きみは」
「ジンキ。またの名を降神姫ウロボロス」
黒いジャケット、黒いボディスーツ。
その少女はかつてアグニとティアと敵対していた降神姫ウロボロスの依り代・ジンキ。
「確かきみの神はもういないはずだが。降神姫や装光妖精たちほどの出力を出せないきみが、私に一人で立ち向かうと?」
はっ、と子馬鹿にするようにジンキは鼻を鳴らした。
「そいつらより下に見られるのは心外ですし、ボクは一人じゃないですよ?」
ジンキが握ったのは、ウロボロスがかつての戦いで残した黒いペンダント。
「うーちゃん、最後にまた、暴れようね」
ジンキは呼んだ。自身の神の名を、なによりも友達の名を。
「ウロボロス!」
神は答えた。ジンキの友達として。
これは、歪な絆の人神一心。
「ぼくらはひとつ、ならば敵はなし!」
ジンキとウロボロスは、この場限り・究極の降神姫となる。
「あーらら、情けない顔だねぇ。見ない顔もいるけど」
降神姫ウロボロスがアグニやティア、装光妖精たちを見て小馬鹿にするように嘲笑う。
しかし、意外にも彼女の行動は敗北した変身少女たちを助けるもの。
「仮にもぼくを倒したんならさ、他で負けてもらっちゃ困るんだよね」
降神姫ウロボロスのボディスーツ、その腹部にある口が開き、この空間にある”メール”を吸い取り始める。
「なに!? この場の快楽データ全てをその身に宿すというのか、そんなことをすれば」
「どうにもならないよ。ウロボロスは自分の尾を食う輪廻の蛇。底なしの貪欲。きみんとこのちんけな集まり食らうくらいどうってことないよ」
瞬く間に、ウロボロスの腹へと降神姫や装光妖精たちを襲った快楽データが吸収されていく。
「んっ、くぅ……ま、官能くらいは受けるかぁ」
底なしに吸い込めるといっても快楽データは快楽データ。
ウロボロスといえども女の体、影響は避けられない。
「でも、”ボクら”なら!」
「そうだね、ジンキ、”ぼくら”なら」
ぺろり、とウロボロスの腹の舌がなめずった。
「バカな! 快楽データ全てを一人の身で!?」
「だから一人じゃないって。とはいえ、疲れたし、そいつらが勝つところなんて見たくもない。”ぼく”は還るよ」
「うん、じゃーね、うーちゃん」
ウロボロスの体から闇が粒子となって抜けていく。
そして、神格・ウロボロスが抜け終わると、残されたジンキもその場からログアウトした。
「降神姫が、装光妖精が勝つところだと? なにをいって!」
”ラストボス”の眼前には、雄々しく立つ降神姫と装光妖精の姿。
それも人神一心形態とエクリプス・イクリプスモードのまま。
当然だ。
彼女たちを無力化していた快楽データは全てウロボロスが食らって行ってしまったのだから。
「行くよ、みんな!」
「おっけーはなび!」
「力を合わせて」
「行きます!」
「ゴッデス・ブライト!!」
神と光の力、その輝きが”ラストボス”を包んでいく。
「そんな、消える? 私がぁぁぁぁぁ!!」
こうして、科学者の造った悪意のバーチャルゲームは終焉を迎えた。
後日。
「いやー、可愛かったね、装光妖精たち」
「むー、みなもちゃんより?」
「んー、どうかなー?」
無表情で膨れるみなもに、はなびはいたずらっぽくにっと笑った。
みなもが一番だよ、と口づけをして。
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